秀吉時代の大阪城と城下を描いた屏風
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AR拡張レプリカ『豊臣期大坂図屏風』がエッゲンベルク城で公開
大阪・関西万博のレガシー、オーストリア・グラーツへ

2026/10/13

2025年大阪・関西万博のオーストリア館レストランに展示されていた『豊臣期大坂図屏風』のAR拡張レプリカが、オーストリア・グラーツのエッゲンベルク宮殿に移設され、2026年9月に一般公開されました。

「未来を作曲」をテーマに掲げたオーストリア館には、万博期間中、約120万人が来場しました。今回の取り組みは、万博の成果を閉幕後も活用し、さらなる文化・教育・国際交流に貢献することで社会に還元するものです。

『豊臣期大坂図屏風』とは

『豊臣期大坂図屏風』とは、大坂夏の陣で焼失する前の豊臣大坂城と城下町の様子を描いた八曲屏風です。日本で制作され、17世紀後半にグラーツの貴族であるエッゲンベルク家の所有となりました。18世紀半ば頃にバラバラに分解され、以来エッゲンベルク宮殿の客間を飾る壁紙として保管されてきました。

『豊臣期大坂図屏風』は豊臣期の大坂の姿をとどめる希少な資料であり、また滋賀県・竹生島の宝厳寺唐門が豊臣大坂城の「極楽橋」を移築したものであることを確認する手がかりになるなど、極めて高い学術的価値を持っています。

大阪万博オーストリア館を飾ったAR拡張レプリカが、屏風の現住所であるエッゲンベルク宮殿へ

2025年の大阪・関西万博のオーストリア館レストランには、万博のために特別に製作された『豊臣期大坂図屏風』のレプリカが展示されました。

このレプリカには、ウィーンを拠点とするArtivive社が開発したARアプリケーションが導入されており、スマートフォンやタブレットをかざすことで、屏風に書かれた場面の一部が動き出し、歴史的背景や関連情報をインタラクティブに楽しむことができます。

万博閉幕から11か月後の2026年9月14日、このレプリカとARアプリケーションが、エッゲンベルク宮殿へ引き渡されました。今後、エッゲンベルク宮殿の来館者は、屏風の実物を鑑賞するだけでなく、レプリカのARを通じて作品の細部や歴史的背景をより深く知ることができます。

関係者のコメント

レプリカの引き渡しを担当した政府代表委員ウルスラ・プラスニク:

「万博の開催期間は6か月ですが、そこで生まれたアイデアは閉幕後も生きつづけます。『豊臣期大坂図屏風』はその象徴です。約400年前に日本で描かれ、オーストリアで保存され、2025年の万博で里帰りし、今また、オーストリア発のイノベーションによってエッゲンベルク宮殿で鑑賞できるようになりました。この取り組みは、歴史的価値の高い文化遺産に新たな価値をもたらすものです。万博で生まれた成果を継続的に活用することが、文化と社会の双方に利益をもたらします」

エッゲンベルク宮殿館長パウル・シュスター:

「『豊臣期大坂図屏風』は、シュタイヤマルク州立博物館ユニバーサルミュージアム・ヨアネウムのコレクションの中でも最も価値の高い資料の一つです。ARアプリケーションを導入したこのレプリカにより、今後は作品の新たな魅力に触れ、その世界をより深く楽しんでいただけるようになります」

AR拡張レプリカの『豊臣期大坂図屏風』は、実物の屏風と併せて、現在エッゲンベルク宮殿内で公開されています。宮殿は例年3月末頃から10月末頃まで一般公開され、冬季は閉館します。2026年の開館は10月31日までです。2027年の開館日については公式サイトをご確認ください。

※本資料はエッゲンベルク宮殿を管理するシュタイヤマルク州立博物館ユニバーサルミュージアム・ヨアネウムのプレスリリースをオーストリア大使館観光部が抄訳・編集したものです。原文およびAR拡張レプリカの報道用写真は、以下のリンクからご利用いただけます。

『豊臣期大坂図屏風』が繋ぐグラーツと日本

2000年代初頭、エッゲンベルク宮殿の学芸員であるバルバラ・カイザー博士が、宮殿の壁紙となっていた屏風の重要性を見出し、関西大学なにわ・大阪文化遺産学研究センター(当時)に調査を依頼しました。その結果、日本国内でも類例の少ない豊臣大阪城を描いたものであることが判明し、大きな話題となりました。

その後、州立博物館ユニバーサルミュージアム・ヨアネウムは関西大学と研究提携を、またエッゲンベルク宮殿は大阪城天守閣と友好城郭提携を締結し、活発な交流がおこなわれました。

それから約20年後の2025年10月、美術史の専門家として『豊臣期大坂図屏風』の研究に携わった関西大学文学部教授(当時)の長谷洋一氏と、滋賀県・竹生島宝厳寺の峰覚雄住職がエッゲンベルク宮殿を訪れ、屏風を鑑賞するとともに、バルバラ・カイザー博士とトークセッションを行いました。その全文はこちらのページからご覧いただけます。

さらに2026年、州立博物館ユニバーサルミュージアム・ヨアネウムは関西大学との研究提携契約を更新しました。今後、屏風の研究がさらに進展することが期待されます。

『豊臣期大坂図屏風』をもっと知るリンク集

エッゲンベルク宮殿の七不思議:エッゲンベルク宮殿の概要および屏風の見どころを紹介。長谷洋一教授による「『豊臣大坂図屏風』の鑑賞がより面白くなる5つの視点」も。

豊臣期大坂図屏風デジタルコンテンツ:研究の中心となった関西大学なにわ大坂研究センターによる特設サイト。屏風の内容が図解で紹介されており、概要を把握するのに最適。

『豊臣期大坂図屏風』国際視察交流会2025 in エッゲンベルク宮殿:2025年秋、日墺の研究者がエッゲンベルク宮殿にて屏風の由来や重要性を話し合ったトークセッションの全文を収録。

特別番組『滋賀とオーストリアをつなぐ架け橋~竹生島の唐門と豊臣期大坂図屏風』:豊臣大坂城唯一の建築遺構とされる滋賀県・竹生島の宝厳寺唐門と、『豊臣期大坂図屏風』のミステリーを紐解く特別番組(2026年1月1日、びわ湖放送)。

滋賀県竹生島 宝厳寺:『豊臣期大坂図屏風』によって宝厳寺唐門が豊臣大坂城の建物のうち唯一喪失を免れた「極楽橋」であることが確認され、大規模修復につながったことは、屏風“再発見”の大きな成果。

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