Rosen im Doblhoffpark, Rosarium, Baden bei Wien, Niederösterreich, Österreich Rosen im Doblhoffpark, Rosarium, Baden bei Wien, Niederösterreich, Österreich
26.07.2021

バーデン・バイ・ウィーンが世界遺産に

ベートーヴェンゆかりの温泉保養地バーデン・バイ・ウィーンが、国内11件目となるユネスコ世界遺産に登録されました。

2021年7月24日、ユネスコはオーストリアのバーデン・バイ・ウィーンを含む7カ国11の温泉都市を「欧州の大温泉保養地」として世界文化遺産に登載しました。オーストリアの世界遺産としては11件目(うち文化遺産10件、自然遺産1件)に当たります。

ウィーンから南へ26キロ、電車で1時間。日帰り旅行にも最適な距離にあるバーデン・バイ・ウィーン(Baden bei Wien, ニーダーエステライヒ州)は、古くローマ時代から知られる温泉保養地でしたが、19世紀初頭に皇帝フランツ2世が夏の滞在地として以来、急速な発展を見せました。

バーデンでは、ウィーンの上流階級や国内外の王侯貴族・芸術家が温泉治療に励みながら余暇を過ごしましたが、中でももっとも著名な滞在客はモーツァルトとベートーヴェンの二人でしょう。神童と楽聖の作品群の中でもあまりに有名な曲が、どちらもバーデンで生まれています。

モーツァルトの妻コンスタンツェは、家計が苦しいにもかかわらず、バーデンによく休養にでかけました。聖シュテファン教区教会で合唱指揮者を務める友人に、世話になった感謝のしるしとしてモーツァルトが贈ったのが、美しい合唱曲『アヴェ・ヴェルム・コルプス』です。その半年後に世を去ったモーツァルトにとって、これが最後の教会音楽となりました。

ベートーヴェンは1821年から23年のあいだに何度もバーデンを訪れ、ここで大部分が書かれたと伝わるのが『交響曲第9番』です。彼が滞在していた家は、現在ベートーヴェンハウス・バーデンという博物館になっています。

温泉地らしく硫黄の匂いが漂う市内は、清楚なビーダーマイヤー時代の家並みが残り、どこか色彩の淡い、のんびりした雰囲気が魅力です。また75.000㎡に800種類3万株のバラが植えられたオーストリア最大のバラ園もあります。

音楽家たちの足跡を訪ね、温泉プール・ウェルネス施設で身体を癒した後は、地元のホイリゲ(ワイナリー兼居酒屋)でニーダーエステライヒ州名物の白ワインを傾けてはいかがでしょうか。