アクセシブル・ツーリズム(バリアフリー観光)
オーストリア政府観光局は、観光施設・商品・サービスをあらゆる人にとってアクセス可能なもの(アクセシブル)にすることが、責任ある観光政策、そして持続可能な観光政策のコアとなると考えています。ここでは、アクセシビリティ向上のためにオーストリア各地で既に実践中の取り組みについて、ご紹介します。
1. 観光案内
1) 観光案内所
国内大部分の地域に、すべての人が利用できるように配慮した観光案内所を設置。
- 車イス等でのアクセスを容易にする工夫(3cmを超える段差禁止、傾斜6%以下)
- 車イス等が充分に動ける空間(1.50㎡)を確保、幅1.50m以上の自動ドア設置
- 建物内点字ブロック、点字地図
- 介助犬可
- 聴覚感応システム付きの案内カウンター
- タブレットが設置された車イス対応サービスエリア
- ユニバーサルアクセスについて訓練を受けたスタッフ
2) 公式ウェブサイト
- バリアフリー観光関連情報の提供
- バリアフリー情報データベースを予約システムに掲載
- 大きな文字、色のコントラストなどを工夫したユニバーサル・デザイン
- 手話での案内
2. 宿泊施設
館内をアクセシブルにした宿泊施設が全国にあり、都市型ホテル、ファームステイ、アパートメント、ペンションなど多様な施設タイプの中から選択可能。
例1)Landhotel Post Ebensee am Traunsee(ザルツカンマーグート):ホテル全域がバリアフリー完備。
例2)Hansalagut in Mauterndorf (ザルツブルク州):バリアフリーのファームステイ型宿泊施設。子ども向けの施設も。
3. 国内の移動と観光
1) 鉄道
- 200以上の国際・国内路線の列車便で車イスでの乗車が可能(例:レイルジェット)。
- 300以上の地域路線の列車便で車イスでの乗車が可能(例:シティジェット)。
- 乗降用設備
- 車イス専用スペース
2) バス・トラム
- バス(オーストリア全域)
- トラム(ウィーン等都市部)※ウィーン市観光局バリアフリー記事
- すべての地下乗降場にエレベーターでアクセス可能。
3) 文化施設(美術館、劇場、イベント等)
- 入出場を容易にする工夫
- 劇場・野外劇場に障がい者専用座席
- 優先駐車スペース
例1)ウィーン美術史博物館(KHM):
- 専用入出場設備
- 毎週金曜をバリアフリーフライデーとし、触覚ガイドツアー(第1金曜)、手話ガイドツアー(第2金曜)、簡単な言葉でのツアー(第3金曜)、認知症の人と同伴者のためのツアー(第4金曜)を実施。テーマは月替り。詳しくはこちら。
- 車イス無料貸与(前日までに要予約 guestservice@khm.at)
- 館内エレベーター
- 駐車場から会場までシャトルバス運行
- 劇場にエレベーター設置
- 障がい者専用座席
この他、主な文化施設のバリアフリー情報:ベルヴェデーレ宮殿/ウィーン自然史博物館/シェーンブルン宮殿/王宮家具博物館
4. 夏のアクティビティ
1) 散策路・ハイキングルート
オーバーエステライヒ州、ケルンテン州、チロル州、フォアアールベルク州などの湖畔の散策路を整備。
例)ケルンテン州ミルシュタット湖のデブリアッハ(Döbriach)
国立公園を含むアルプス山岳地帯。
例)フォアアールベルク州モンタフォン渓谷のザンクト・ガレンキルヒ(St. Gallenkirch)
2) ハンドサイクル(ハンドバイク)
オーストリア全域の多くのサイクリングルートにハンドサイクル用の表示あり。
例)チロル州ヴァルヒ湖(Walchsee)を囲むルート
5. 冬のアクティビティ
多くのスキーエリアとスキー場は、誰もがウィンタースポーツを満喫できるように整備されている。モノスキー、特殊なソリを使うクロスカントリー、バイスキー、アウトリガースキーなども楽しめる。
1) モノスキー
チロル州にある以下の地域には、モノスキーのレンタル、特別リフト、サポート人員、モノスキースクールが整備されている。
- カウナータル氷河(Kaunertal Glacier):30 kmのスキー斜面、海抜2.150 – 3.160 m
- ゼアファウス・フィス・ラディス(Serfaus-Fiss-Ladis):161 kmのスキー斜面、海抜1.200 – 2.828 m
- エッツタール渓谷のホッホエッツ(Hochoetz / Oetztal):41 kmのスキー斜面、海抜670 – 2.020 m
2) 特殊なソリを使うクロスカントリー
インスブルック近郊のオリンピックリージョン・ゼーフェルト(Olympiaregion Seefeld)とカウナータル渓谷(Kaunertal)にはクロスカントリー専用のスロープがあり、パラリンピック金メダリストのオリバー・アントホーファーが定期的に認証をしている。
3) スキースクール
全国のスキースクールにて、すべての人を対象にスキー講座を実施している。中でも以下の地域・スクールはハンディキャップのある人向けのサービスが充実している。
- Freizeit-PSO(シュタイアマルク州シュラードミング):モノスキー、バイスキー、アウトリガースキー、視覚障がいのある人のスキー、同伴者や親のためのトレーニング
- ヴィルダーカイザー(チロル州ザンクト・ヨハン):モノスキー、視覚障がいのある人のスキー、ダウン症のある人のスキー
- フィス・ラディス(Fiss-Ladis)スキースクール(チロル州):モノスキー、視覚障がいのある人のスキー、その他要望に応じて講座を開講
5. その他
上記の他にも、多くの観光地や施設で、あらゆる人が不便なく利用できる設備が整っている。
例)温泉スパ施設、スワロフスキー・クリスタル・ワールド、障がいのある人を対象としたシティツアー、チロル州カウナータル渓谷の展望台「アドラブリック(Adlerblick)」など
※アクセシブル・ツーリズムについてもっと見る⇨オーストリア政府観光局本部サイト(ドイツ語)